👥1on1とは
1on1は、定期的に1対1で対話をするミーティングのことです。上司と部下、メンターとメンティといった関係性において、信頼関係を構築し、コーチングやメンタリングなどを通して個人の成功を支援し、組織の成果に繋げていきます。
エンジニアリングマネージャーになると、1on1に多くの時間を使うことになります。例えば、チームメンバーが7名から8名いる場合、1on1にまつわる時間は業務時間の1〜2割ほどになります。周りがやってるからとりあえず1on1をやるという考えでは、マネージャーとメンバーの時間の無駄になってしまいます。
メンバーに合わせて戦略的に1on1を実施することで、メンバーの自己実現と組織の成果向上を実現することができるでしょう。
1on1の目的
1on1の目的は、個人の成功をサポートし、組織の成果を高めていくことです。そのため、1on1はメンバーのための時間とし、メンバーが成功することを全力でサポートしながら、組織の成功に結びつくようにしていきます。
1on1の重要性
1on1は、ピープルマネジメントの多くの活動をカバーしており、ピープルマネジメントにおいてとても重要な活動になってきます。
具体的には、1on1で次のようなことを実現できます。
- 親近感や信頼関係を構築する
- 心理的安全性を高める
- 期待値のすり合わせ
- 主体性を促す
- モチベーションを高める
- 課題解決を支援する
- 成長を促進する
- キャリア実現を支援する
また、効果的な1on1を実施するには、コミュニケーションスキルも必要になります。
このように、何も準備をしていない雑談と、意味があり焦点が明確な1on1では効果が大きく異なることは容易に想像がつくでしょう。
1on1の頻度と時間
エンジニアに対する1on1の頻度と時間は、週1回30分を推奨しています。
理由としては次の通りです。
- リモートワークで働く環境が多く、こまめな認識のすり合わせが必要なため
- 転職周期も早い職種なので、やりがいや成長機会がなくなると離職につながりやすいため
また、個人の状況に合わせて、頻度や時間は調整するのが良いです。
- ジュニア〜ミドル、入社直後や異動直後など環境変化が大きい場合
- コーチングが多めに必要、情報共有が得意かどうか、チームや会社に対する不安や不満が多い場合
1on1の心構え
1on1をする中で、大切な心構えを説明します。
1on1はメンバーのための時間
- 1on1をどういう場所にしたいか話し合い、メンバーごとに内容をカスタマイズする
- 自分が話すのではなく、メンバーに話してもらい、しっかりと聴く
- 1人の人間として常に思いやりを示し、マイクロマネジメントをせず、メンバーの自主性を尊重する
- メンバーが自分の言いたいことを言えて、マネージャーがそれをしっかり受け止め、組織としての考えを伝えてくれるという場を作る
最初は信頼関係を構築する
- 信頼していない人に悩みは打ち明けてくれない
- 1on1を始めると自分の話を聞いてもらえる場が定期的にあることが良かったという声が多い
- 自分のことを見てくれている、話を聞いてくれる、認めてくれるということはとても大事
メンバーの可能性を信じる
- 1人の人間として常に思いやりを示し、マイクロマネジメントをせず、メンバーの自主性を尊重する
- メンバーの困りごとを解決すると、メンバーの成長の機会を奪ってしまう
- 問題に対して解決策を示すのではなく、相手が自分自身で問題を解決するために、頭の上に思考のふきだしをうかばせるようにする
- 与えられた答えでは納得しない。答えを自分で見つけれるように支援する
🔁1on1の全体的な流れ
新しいメンバーと1on1をはじめてから振り返りまでの、半年ぐらいのスパンを想定しています。
①1on1を始める(2-3ヶ月程度)
まず、メンバーとの親近感や信頼関係を構築しながら、メンバーの理解を進めます。
- どういう1on1にしたいか話す
- 1on1はメンバーのための時間であり、メンバーによって1on1に期待することややり方は違います
- 実際にどういう1on1にしたいか聞いても上手く答えられない人が多いので、自分はこうしたいと伝えて、それをベースに話し合うと良いでしょう。
- 親近感・信頼関係の構築
- 親近感や信頼関係ない中で効果的な1on1はできません。
- 信頼していない人に対して、悩みを打ち明けたり、アドバイスを聞くということはできないでしょう。
- メンバーと頻度高く話すこと、話を真摯に聞くこと、相手を認めることを通しながら信頼関係を構築していきます。
- Will・Canの把握
- Will(やりたいこと)やCan(できること)は個人個人違います。
- もちろん、WillやCanによって、個人の成果や成長の仕方も変わります。
- メンバーの自己実現と組織の成果を両立させるには、Will・Canの把握は必須と言っても良いでしょう。
- 期待値のすり合わせ
- 「個人としてやりたいこと」と「組織として必要なこと」を期待値という形ですり合わせます。
- 期待値は、目標管理として明文化されることもあれば、暗黙的な期待値として存在する場合もありますが、お互いにすり合わせておくことがとても大事です。
- 状況は常に変わるので、期待値は定期的にすり合わせてギャップを減らせるようにします。
②成果や成長を支援する(3ヶ月-半年程度)
親近感や信頼関係が構築でき、人となりを理解しお互いに気兼ねなく話せる状態になってきたら、次は、成果や成長を支援していきます。
- 月1で目標の振り返り
- 目標の運用は形骸化されやすいので、月1で実施することで目標管理を機能させることができます。
- 目標を振り返ってもらい、内省を促し、自分の言葉で行動にコミットしてもらうことで次のアクションを促していきます。
- 月1で目標の進捗を書いておくことで、半期や年次の人事評価時の納得感が高まるのでオススメです。
- チーム目標の理解を促す
- 個々のチームメンバーがチームの目標を理解してない状況で、チーム目標を達成することは難しいでしょう。
- チーム目標の理解度を把握し、理解を促し、メンバーがどう貢献していくかを語れるように促していきます。
- 個人やチームの課題を聞く
- メンバー目線での個人やチームの課題を聞きます。
- マネージャーとして自分が動いて解決したほうが良さそうな場合はアクションを打っていきます。
- 満足度や不安・不満を確認する
- やる気が高いと成果も高くなります。
- 不安や不満が高くなると離職リスクが高ります。
- やる気や不安・不満を確認して、適切に対処していきます。
- フィードバックをする
- フィードバックは成果や成長を促す手段の1つです。
- 評価面談の時にいきなりフィードバックするのではなく、日々の1on1の中でこまめにフィードバックをします。
- フィードバックの仕方としては、SBIモデル(状況、行動、影響)が有名です。
③1on1を振り返る(1ヶ月程度)
最後に、半年ほど活動した振り返りを実施しながら、人事評価、今後のキャリアや1on1の方法について対話していきます。
- 人事評価
- 評価スケジュールに基づき実施していきます。
- 良い評価をだせるように、期中の中で成果や成長をいかに支援できたかが大事です。
- キャリアについて話し合う
- 今期の活動により、キャリアに向けてどんだけ進捗しているかを話します。
- キャリアの進捗がわかることで、次の期もますます頑張ろうとやる気も高まるでしょう。
- もちろん、やってみたことでキャリアの方向性を変えることもありです。
- マネジメントに対するフィードバックをもらう
- アンケートとったり、1on1で聞いたりして、自己のマネジメントに対するフィードバックをもらいます。
- マネージャーはフィードバックをもらう機会が少ないので、積極的にもらうことで、自己認識を高めて今後の改善につなげることができます。
- 1on1のやり方を話し合う
- 半年ぐらい1on1やってきたので、やり方について話し合います。
- 「どういうところが良かったか」、「どこらへんはあまり効果がなかったか」など話して今後の1on1のやり方に活かせると良いでしょう。
✅1on1のセルフチェック
最後に、1on1が上手くできているかのセルフチェックできるリストを紹介します。
普段の1on1を思い出しながらこのチェックリストを確認することで、今後の1on1の改善のきっかけにできるでしょう。
- 1on1の進め方
- ほとんど自分が話していないか?話を遮ってないか?
- メンバーが自分の意見を言っているか?
- メンバーから1on1のフィードバックをもらっているか?
- 信頼関係
- お互いに親近感を感じているか?
- 気兼ねなく話をできるか?話をしてくれるか?
- パーソナリティ
- メンバーの性格や価値観を把握しているか?
- メンバーの強みや弱みを把握しているか?
- メンバーの思考や行動パターンを把握しているか?
- やる気・エンゲージメント
- やる気は高い状態か?(10点満点中何点?)
- 何にやりがいを感じているか?
- 不満や不安を感じていないか?
- 成果
- 目標の期待値はすり合っているか?
- 期待する成果をだせているか?
- 成果に対する評価はすり合っているか?
- 成果をより高めるための活動・支援ができているか?
- キャリア・成長
- メンバーのキャリアビジョンを把握しているか?
- キャリアビジョンの実現に向けて、今期何をやるかお互いに明文化できているか?
- 定期的に経験学習を実施し成長できているか?
- メンバーに成長実感があるか?その成長は満足いくものか?
📚参考書籍・サイト
- 部下が自ら成長し、チームが回り出す 1ON1戦術(具体的な会話例があるのでイメージつきやすい)
- 対話型マネージャー(型化されておりバランスが良い)
- 1on1マネジメント
- One-on-One Meetings Resources for Managers | Lara Hogan