エンジニアリングマネージャーになったら読みたい本・サイト6選

ソフトウェア開発のエンジニアリングマネージャー(EM)になりたてのときは、EMとしてどういった役割が求められ、何をしたらいいのかわからないことばかりではないでしょうか。
マネジメントは経験学習が効果的な分野ですが、実践だけではなく学びと併用していくことで効果的にマネジメントスキルを高めていくことができます。

この記事では、私がEMになりたてのときに特に役立った書籍やサイトを6つご紹介します。参考になれば嬉しいです。

1. エンジニアリングマネージャーのしごと

「エンジニアリングマネージャーのしごと」は2022年8月にオライリーから発売された書籍です。

エンジニアリングマネージャーが普段実施する業務について一通り書かれているため、EMになりたてで何をやったらよいかわからないという方には特におすすめです!

具体的には、エンジニアリングマネージャーが普段考えることが章ごとに具体的な方法ともに説明されています。

  • 個人:コミュニケーション方法、1on1のやり方、モチベーション管理、採用、評価、委譲のやり方、キャリア開発
  • チーム・組織:チームビルディング、プロジェクト管理、ネットワーキング、情報流通、リモートワーク

「エンジニアリングマネージャーのしごと」の内容を実践しつつ、学んでいくだけでも、基本的なマネジメントができるようになっていくでしょう。

2. エンジニアのためのマネジメントキャリアパス

「エンジニアのためのマネジメントキャリアパス」は、2018年8月にオライリーから発売された書籍です。

テックリードからCTOになった経験を持つ著者が各キャリアを段階的に説明しています。各キャリアごとに役割や業務内容ががらっと変わるのでマネジメントの視座や視野を広げることができます。

具体的には、次のようにキャリアの各段階で必要な役割や知識、スキルが説明されています。

  • メンター:メンタリング、メンターの重要な心得
  • テックリード:役割、プロジェクト管理テクニック、優秀なテックリードとは
  • EM:1on1・仕事の任せ方・勤務評価・キャリアアップなどの人の管理、意思決定やプロジェクト管理などのチームの管理
  • 開発部長:複数のEMの管理、複数チームの管理
  • 経営幹部:技術担当VP、CTO、戦略の策定、他部門の幹部

また、テックリードの章では「技術職を貫くか、管理職への道を選ぶか」といった話があったり、チームの管理の章でも「ITスキルの維持」といった技術のマネジメント職のキャリアに歩もうとすると人の悩みなどについても書かれておりとてもおすすめです!

3. エンジニアリング組織論への招待

「エンジニアリング組織論への招待」は、2018年2月に技術評論社から発売された書籍です。

言葉選びや言い回しが独特で少しとっつきずらいですが、エンジニアリングやエンジニア組織に対する知識の理論や実践のための知識を学べます。逆に、エンジニアリングマネージャーの役割や目標という話は書いていません。

  • エンジニアリング:見積もりやスケジュールの不確実性、要求仕様の不確実性、不確実に向き合うスクラム
  • 開発メンバー・開発チーム:メンタリング、心理的安全性、アジャイル開発
  • 開発組織:生産性、権限委譲と説明責任、技術的負債、内製か外注か、目標管理、組織設計とアーキテクチャ

エンジニアリングマネージャーが開発チームや開発組織、プロジェクト管理などを実践するときに役立つでしょう。

4. 急成長を導くマネージャーの型

「急成長を導くマネージャーの型」は、2021年11月に技術評論社から発売された書籍です。

エンジニアマネージャー向けの書籍ではないのですが、ベンチャー企業でのマネジメントについて体系的に書かれておりマネジメントの基礎をみっちりと学べるのでおすすめです!

具体的には、以下のマネジメントの地図を示し、各項目を章ごとに説明しており、マネージャーの役割、マインドからマネジメント時の具体的な行動まで一通り学ぶことができます。

マネジメントの地図(引用元:急成長を導くマネージャーの型)

エンジニアリング関係なくマネジメントについて体系的に基礎を学びたい方にはおすすめです。

書籍に興味がある方は、著者によって書かれた「【スライド約300枚】ベンチャーマネージャーのマニュアル|長村禎庸@EVeM 」の記事を読んでみてください。書籍の内容が無料で約300枚のスライドで読むことができます。

5. ITエンジニア採用入門

zenn.dev

「ITエンジニア採用入門」はてぃーびーさんが2022年5月に公開された無料で読めるZennの本です。

エンジニアリングマネージャーの主要な業務として1つとして採用があります。1エンジニアの場合、採用面接にでることはあっても採用の全体像を知ることはなかなかないでしょう。そういったときに、ITエンジニアの採用に関する全体像を学ぶことができます。

  • 前提知識:採用市場の状況、転職顕在層・転職潜在層、採用の全体像
  • 採用マーケティング:EVP、情報の透明化、採用広報、Employee Advocacy
  • 求人要件定義:職務分析、募集背景、提供価値、求人の分割
  • 求人票:求人票作成、レビュー、メンテナンス
  • カジュアル面談:情報提供、アトラクト、引き継ぎ、リードナーチャリング
  • ダイレクトリクルーティング:採用媒体、ソーシャル採用、リファラル採用、スカウト文、スカウトアンチパターン
  • 選考:書類選考、カルチャーマッチ、スキルマッチ、インタビュー、アトラクト、内定オファー、構造化面接、ワークサンプルテスト
  • 候補者体験:とは、3つの契約、候補者ジャーニーマップ

6. DX Criteria(DX基準)

dxcriteria.cto-a.org

「DX Criteria」は、日本CTO協会が監修・編纂している企業のデジタル化とソフトウェア活用のためのガイドラインです。

チーム、システム、データ駆動、デザイン思考、コーポレートと5つのテーマから構成されています。

DX Criteria内で無料でアセスメントシートを提供しており、半期に一度実際にチェックをいれながら状況把握に利用しています。その中での感想として、近年のソフトウェア開発のベストプラクティスがつまっている内容だと感じています。

例えば、システム部分だと、バージョン管理、ソースコードの明確さ、継続的インテグレーション、継続的デプロイ、API駆動開発、疎結合アーキテクチャ、システムモニタリング、セキュリティシフトレフトといった内容になっています。

活用方法としては、定期的にチェックをしてチームの状況把握と今後の改善案のネタの1つとして使えるでしょう。